短期給付一覧表
短期給付事業は、組合員とその家族(被扶養者)の病気やケガ、出産、死亡、休業、災害などに対して行う給付事業です。
これらの給付には、「保健給付」・「休業給付」・「災害給付」の3種類からなる「法定給付」と、これらの法定給付を補うために共済組合が独自に行う「附加給付」があります。
Table of Contents
法定給付
保健給付
組合員及び被扶養者の病気、負傷、出産、死亡などのときに行われる給付
組合員 | 療養の給付 入院時食事療養費 入院時生活療養費 保険外併用療養費 療養費 訪問看護療養費 移送費 高額療養費 出産費 埋葬料 |
被扶養者 | 家族療養の給付 入院時食事療養費 入院時生活療養費 家族療養費 家族訪問看護療養費 家族移送費 高額療養費 家族出産費 家族埋葬料 |
休業給付
組合員が病気、負傷、出産、災害などで欠勤し、報酬が支給されないときに行われる給付
組合員 | 傷病手当金 出産手当金 休業手当金 育児休業手当金 介護休業手当金 |
災害給付
組合員が非常災害に被災したことにより、死亡したり、住居・家財に損害を受けたとき、又は被扶養者が災害で死亡したときに行われる給付
組合員 | 弔慰金 災害見舞金 |
被扶養者 | 家族弔慰金 |
附加給付
組合の財政状況に応じて、法廷給付に併せて行う給付
組合員 | 傷病手当金附加金 出産費附加金 |
被扶養者 | 家族出産費附加金 |
組合員証を利用するとき
① 療養の給付・家族療養の給付
組合員が公務によらない病気やけが又は被扶養者が病気やけがによって、病院などの医療保険機関で診療・治療を受けた場合、要した医療費(入院時の食事療養に要した費用を除きます。)のうち、自己負担分を差し引いた残りの額を共済組合が支払うこととなります。これを「療養の給付」又は「家族療養の給付」といいます。
要した医療費の自己負担分については、国民健康保険等と同様に一律3割負担になります。ただし、6歳未満の被扶養者については2割負担、70歳以上の被扶養者については収入に応じて、一般は、2割負担、現役並の所得者は、3割負担となります。
② 入院時食事療養費
組合員(特定長期入院組合員を除く。)が、病気やけがにより病院等に入院した際に、入院中の食事療養(病院等から提供される給食)に要する費用は、本人が一定の額を負担(標準負担額)し、残りを共済組合が入院時食事療養費として支払うことになります。
なお、一定の額(標準負担額)は、平均的家計に占める食料費等の支出額に照らして、一食につき原則490円となっています。
食事に関する患者負担部分は、後述する高額療養費の対象費用とはならないのでご注意下さい。
③ 入院時生活療養費
特定長期入院(公務によらない病気やけがにより、医療機関から療養の給付に併せて生活療養を受けたとき)について、65歳以上の組合員が療養病棟に入院したとき、食事と居住費に係る費用のうち、標準負担額(厚生労働大臣が別に定める基準により算定した額:原則一食につき490円及び居住費1日につき370円)を除いた額を共済組合が負担します。
④ 保険外併用療養費
組合員が、公務によらない病気やけがにより、療養を行う中で、一部でも保険で認められていない療養を受けたときは、その療養のすべてが保険外診療として全額自己負担となります。ただし、保険で認められていない療養を受ける場合でも、その療養が厚生労働大臣の定める「評価療養」あるいは「選定療養」であった場合は、保険適用される療養の費用について、これに応じた額を共済組合が負担します。
⑤ 訪問看護療養費・家族訪問看護療養費
病気やけがにより在宅診療することが必要となり、医師の指示によって訪問看護事業者(地方自治体・医療法人等で県知事等の認可を得た団体であり、訪問 看護ステーションともいわれます。)から看護師等による訪問看護サービスを受 けた場合で、共済組合が必要と認めたときに支給されます。
具体的な例としては、在宅の末期ガン患者、難病患者、重度障害者(筋ジス, 脳性麻痺等)、初老期の脳卒中患者等が該当します。
この場合も、療養の給付・家族療養の給付と同様に総医療費の3割が自己負担分となり、残りの額を共済組合が負担することになります。
⑥ 移送費・家族移送費
組合員又は被扶養者が適切な医療を受けるために、医師の指示により転地療養した場合や本人自身による移動が著しく困難で、かつ、緊急やむを得ないときで、済組合が認めた場合に支給されます。
この場合の支給額は、実費補てんの考え方に基づき最も経済的な経路及び方法により組合が相当と判断する額になります(保険外併用療養費に係る療養を含みます)。
⑦ 高額療養費
組合員の負担する医療費の額が高額になったときは、請求によって高額療養費が共済組合から給付されます。
高額療養費は、1か月間に負担する組合員本人と被扶養者の医療費の額が一定額を超えたときに、超えた額を給付するものです。
一定額とは、組合員の家計から支払った医療費のうち、21,000円以上の医療費を合計し、組合員の標準報酬月額を下表に当てはめて計算します。
計算方法
区分 | 月単位の上限額 |
---|---|
標準報酬月額83万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% 〈多数回該当:140,100円〉 |
標準報酬月額53~83万円未満 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% 〈多数回該当:93,000円〉 |
標準報酬月額28~53万円 未満 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 〈多数回該当:44,400円〉 |
標準報酬月額28万未満 | 57,600円 〈多数回該当:44,400円〉 |
市区町村民税非課税等 | 35,400円 〈多数回該当:24,600円〉 |
※ 医療費とは、自己負担分と共済組合から支出される分を合わせた額になります。
※ 多数回該当とは、当該月を含む直近12か月のうちに3回目以上高額療養費支給の対象となった場合のことを指し、4回目以降の基準が変わります。
※ 高額療養費は、原則として窓口で自己負担分の医療費を支払った後に、共済組合に請求してから支給される仕組みとなっていますが、入院療養や重度の在宅医療のほか外来療養を受けた場合でも同一の月に1つの医療機関又は薬局での負担額が自己負担限度額を超えることが見込まれる場合などにおいて、事前に所定の手続きをすることで自己負担限度額を超えた額を窓口で支払わなくてよい仕組みもあります。
⑧ 70歳以上の被扶養者及び75歳到達月における被扶養者の高額療養費
70歳以上75歳未満の高齢者については、高額療養費の自己負担限度額が異なります(75歳以上の高齢者は、「後期高齢者医療制度」 に加入し、自動的に共済組合保険の対象外となります。)。詳しくは以下のとおりです。
70~74歳 | 自己負担限度額 外来+入院 |
|
---|---|---|
外来(個人ごと) | ||
年収約1,160万円~ 標準報酬83万円以上 課税所得690万円以上 |
252,600円+(医療費-842,000)×1% 〈多数回該当:140,100円) |
|
年収約770万~1,160万円 標準報酬53万~79万円 課税所得380万円以上 |
167,400円+(医療費-558,000)×1% 〈多数回該当:93,000円) |
|
年収約370万~770万円 標準報酬28万~50万円 課税所得381万円以上 |
80,100円+1% 〈多数回該当:44,400円) |
|
一般 (年収156万~370万円) |
18,000円 (年間14.4万円上限) | 57,600円 〈44,400円) |
住民税非課税 | 8,000円 | 24,600円 |
住民税非課税 (所得が一定以下) |
15,000円 |
⑨ 高額医療・高額介護合算療養費制度
組合員の世帯が、医療及び介護(介護保険については後述します。)を両方受けたことにより、その支払いをする際の費用負担の軽減を図るための制度です。
前年8月1日からその年の7月31日までの期間(計算期間)において、自己負担額の合計が以下の表の自己負担限度額を超えた場合、申請をすることにより、超えた部分の金額を支給します。
70歳以上 | (参考)70歳未満 | |
---|---|---|
年収約1,160万円~ 標準報酬83万円以上 課税所得690万円以上 |
212万円 | 212万円 |
年収約770万~1,160万円~ 標準報酬53万~79万円以上 課税所得380万円以上 |
141万円 | 141万円 |
年収約370万~770万円~ 標準報酬28万~50万円以上 課税所得145万円以上 |
67万円 | 67万円 |
一般(年収156~370万円) 健保:標準報酬26万円以下 国保・後期:課税所得145万円未満 |
56万円 | 60万円 |
市町村民税世帯非課税 | 31万円 | 34万円 |
市町村民税世帯非課税(所得が一定以下) | 19万円 | 34万円 |
⑩ 高額医療費に支払いに係る限度額適用について
高額療養費は、組合員又は被扶養者が、保険診療対象の病気やけがにより医療機関又は薬局 を利用し、窓口で支払う自己負担額が著しく高額であるときに支給されるものですが、原則として、窓口での支払い後に保険者である共済組合に申請してから支給される仕組み(現金給付)となっています。
そのため、組合員又は被扶養者が自己負担限度額を超えた額を支払うこととなり、一時的にでもその金銭的負担が大きくなることから、入院療養や重度の在宅療養を受ける場合のほか、外来療養においても、同一の月に1つの医療機関又は薬局での負担額が自己負担限度額を超えることが見込まれる場合は、自己負担限度額を超える額を窓口で支払わなくてもよい仕組み(現物給付)があります。
具体的には、オンライン資格確認システムが導入済みの医療機関であれば、事前に所定の登録手続を実施し、窓口でマイナンバーカード(マイナ保険証)を提示していただくことにより、医療機関窓口での1か月のお支払いが最初から自己負担限度額となりますので、マイナ保険証をぜひご利用ください。
なお、オンライン資格確認システムを導入していない医療機関等で受診される場合や、マイナンバーカードの登録が行われていない場合は、「限度額適用認定証」に係る事前申請が必要となりますので、共済担当者まで申し出てください。
組合員証が使用できなかったとき
⑪ 療養費・家族療養費
病気やけがの診察は、組合員証を使用するのが原則ですが、やむを得ない事情などで、組合員証を使えなかった場合、共済組合が認めたときは、申請により一定の基準によって算出した額から、自己負担分を差し引いた額が給付されます。
区分 | 療養費・家族療養費 |
---|---|
家族療養費(70歳以上75歳未満) | 本人負担 7割~8割(療養の給付に準じる。) |
療養費 家族療養費 | 本人負担 7 割 |
家族療養費(6歳未満) | 本人負担 8 割 |
※ 6歳未満とは、6歳に達した日の属する年度末(3月31日)をいいます。
☆ 共済組合が認めるやむを得ない事情とは
・組合員及び被扶養者が住んでいる地域に保険医療機関がないとき
・急病やけがなどで緊急な手当を必要とし、やむを得ず保険医療機関以外の病院などにかかったとき
・やむを得ない理由で組合員証が使えなかったとき
※ 自費診療の場合は、保険による医療費より高くなっていることがあります。共済組合からの給付額は、保険点数(1点10円)で計算しますので、実際に立て替えて支払った額よりも少なくなる場合があります。
その他の療養費・家族療養費
① 治療・材料費
コルセット、輸血用鮮血などは、医師の指示又は同意によって使用したものであれば給付されます。ただし、眼鏡(小児治療用(9歳未満) 等は除く。)、補聴器などは対象になりません。
※ 輸血は、親子、夫婦、兄弟などの親族から受けたものは、対象になりません。
② はり・きゅう・あんま・マッサージ
慢性病などによる治療上の理由から、あらかじめ医師の同意を得て、はり・きゅう・マッサージ師にかかったものであれば給付されます。
③ 柔道整復師の治療
整骨院や接骨院で骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉離れを含む。)の施術を受けた場合に保険の対象となります。
なお、骨折及び脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要です(単なる肩こり、筋肉疲労などに対する施術は保険の対象になりません。)。
柔道整復師の施術は、保険医療機関とは拠って立つ法律が違うために性質が異なっています。形式的には、組合員が組合から受けるべき療養費の請求を、施術した柔道整復師に委任する取扱いになっています。
④外国での診療
外国で診療を受け、医療機関にその費用を支払ったときは、日本の保険点数に換算した範囲内で療養費が支給されます。
なお、外国での診療は、保険点数に換算できないものが多いので、支給額が少なくなる場合があります。